白だしは、自分で出汁(だし)をとる時間をかけなくても、プロの料理人が作るような、だしの効いたうま味のある料理を作れるとして、人気のある調味料です。
しかし白だしは、めんつゆと同じようにすでに味付けされていることもあり、アミノ酸等といった化学調味料が使われやすい調味料です。
そのため健康を意識して、「化学調味料無添加」の白だしを選んでいる方も多いと思います。
ところで化学調味料無添加の白だしにも関わらず、どことなく後味がスッキリしない印象を持った経験はないでしょうか。
実は「化学調味料無添加」と表示されていても、化学調味料(うまみ調味料)と変わらない味を持つ、人工的な調味料が使われている白だしもあります。
そのため化学調味料無添加であっても、化学調味料と同じような独特の後味を感じるのです。
ここでは、化学調味料(うまみ調味料)だけではなく、人工的な調味料も入っていない、”本物”の無添加白だしを紹介します。
もくじ
白だしとは
「白だし」は、「昆布」「椎茸」「かつおぶし」などからとっただしに、薄口醤油(うすくちしょうゆ)や白醤油(しろしょうゆ)、食塩、砂糖、みりんなどを加えて作られた調味料です。
白だしは、濃縮のめんつゆと同じように、水やお湯などで濃度を薄めて使用するだけでだしの効いた味つけができることから、万能調味料とも呼ばれています。
白だしを使うメリット
だしをとる手間がかからない
白だしは薄めるだけでだしの効いた味つけができますので、自分でだしをとるのが大変なときや、お子さんへのお昼ごはんづくりなど、短時間でおいしい料理に仕上げたいときに便利です。
お料理が苦手な方や味付けに自信のない方でも失敗しにくい
白だしは、すでに味が調味されています。白だしを使うことで、味付けの調味料を色々と使わなくても、手軽にだしの効いた本格的な味付けのお料理が作れます。
お料理の苦手な方や味付けに自信のない方、初心者の方にもおすすめです。
素材の色を損なわない
白だしは、透きとおった薄い色をしています。しっかり味つけされていながら、素材の色は損なわれませんので、見た目にも食欲がそそられる色合いの料理に仕上がります。
白だしのデメリット
たくさん使うと塩辛くなる
白だしは色が薄いため、味も薄く思われがちですが、塩分は濃口醤油(こいくちしょうゆ)と同じくらい含まれています。色が薄いからといって、たくさん使うと塩辛くなります。
また白だしはだしだけではなく、塩分も含まれています。そのためだしを効かせたいからといって濃い目にすると、やはり塩辛くなりますので注意しましょう。
味の好みが分かれる
白だしは、すでに味が付いているので便利な反面、味の好みについては「合う」「合わない」があるかもしれません。
ただ手軽にだしの効いた料理が作れるのは魅力的。そこで、もし好みが合わない場合は、隠し味程度に利用するなど、味を調節すると良いでしょう。
無添加白だしの選び方
「化学調味料無添加」であっても安心しない
「化学調味料無添加」と表示されていても安心せず、原材料をチェックしましょう。
ラベルに「化学調味料無添加」と表示されていても、必ずしも自然のままの原材料だけで作られているとは限らないからです。
白だしに入っている原材料の中には、化学調味料(うまみ調味料)と同じような内容でありながら、食品扱いになることから「化学調味料無添加」と表示できるものがあります。
たとえば「酵母エキス」は、強いうまみを出す人工的な調味料です。ビールの製造過程で出る酵母の残りカスから作られ、精製されていないことから食品に分類されています。
また肉や魚、小麦などを人為的に加工して作る「たんぱく加水分解物」は、自然には存在しない調味料です。酵母エキスと同様に、強いうまみを出すために使われる、人工的な調味料です。
酵母エキスもたんぱく加水分解物も、人工的な調味料であるにも関わらず、化学調味料ではなく食品扱いです。
そのため、原料にそれらの調味料が使われていても、「化学調味料無添加」という表示が可能になるのです。
無添加の白だしを選ぶのであれば、酵母エキスやたんぱく加水分解物が使われていない商品にしましょう。
原材料に「〇〇エキス」と表示された白だしは避ける
原材料に「昆布エキス」や「鰹エキス」といった表示のある白だしは、製造過程で食品添加物が使われている可能性があるので避けましょう。
「〇〇エキス」のような様々なエキスは、人工的にエキスを抽出する方法で作られることがあります。
その場合、エキスを抽出するときに食品添加物が使われます。
ところがエキスを抽出するときに使われる食品添加物は、最終的に量が少なく食品への影響は無いと判断されれば、食品添加物の表示は免除されます。
つまり食品添加物が使われても、「食品添加物無添加」と表示できるのです。
さらに抽出されたエキスには、自然のだしとは異なる強いうまみ成分があります。そのため、化学調味料と同じような後味につながります。
自然の味を求め、無添加にこだわるのであれば、原材料に「〇〇エキス」と表示された白だしを避けましょう。
無添加白だしおすすめ3選
ここからは安心して利用できる、「本物」の無添加白だしを紹介します。
だし屋が造った無添加白だし しあわせ:マエカワテイスト
「マエカワテイスト」さんは、1951年に創業した、削りぶし・だし専門のメーカーです。
「本当の無添加を実現する」ため、研究開発部門の「前川TSH研究所」を開設。
安全でおいしく健康にも役立つだしづくりを研究する一方で、大学と連携しながら、科学的な面からの製品開発も行っています。
「マエカワテイスト」さんの製品は、すべて天然素材だけで作られています。
食品添加物不使用。さらに食品扱いである「たんぱく化水分解物」や「酵母エキス」も不使用です。
昔ながらの「煮釜だし」製法で作られている、こだわりの無添加白だしです。
4種類の風味原料(いわしぶし、とびうお煮干、こんぶ、椎茸)を熱水抽出して煮詰め、旨みを濃縮させています。
原材料は、すべて国産原料100%の天然素材だけで作られています。
化学調味料や保存料をはじめ、食品添加物は不使用。さらに食品扱いである「たんぱく化水分解物」や「酵母エキス」も不使用です。
原材料
風味原料(いわしぶし、とびうお煮干、こんぶ、椎茸)、食塩、砂糖
栄養成分
100gあたり:熱量47kcal、たんぱく質3.7g、脂質0g、炭水化物8.1g、ナトリウム3800mg、食塩相当量9.7g
だし屋が造った無添加濃厚だし 六合わせ:マエカワテイスト
昔ながらの「煮釜だし」製法で作られている、こだわりの無添加濃縮だしです。6種類の風味原料(さばぶし、かつおぶし、こんぶ、そうだかつおぶし、干しえび、椎茸)を熱水抽出して煮詰め、旨みを濃縮させた無添加白だしです。
原材料は、すべて天然素材だけで作られています。
化学調味料や保存料をはじめ、食品添加物は不使用。さらに食品扱いである「たんぱく化水分解物」や「酵母エキス」も不使用です。
「無添加白だし しあわせ」と「無添加濃厚だし 六合わせ」の違いは、原材料の違いです。使用方法は同じです。
原材料:
風味原料(さばぶし、かつおぶし、こんぶ、そうだかつおぶし、干しえび、椎茸)、砂糖、食塩、米ぬか、(原材料の一部に小麦を含む)
栄養成分
100gあたり:熱量69kcal、たんぱく質3.4g、脂質0.1g、炭水化物13.5g、ナトリウム4400mg、食塩相当量11.2g
三河白だし:日東醸造
「日東醸造」さんは、大正初期(1938年)創業の老舗。
創業以来から白醤油を造り続けながら、「自然素材にこだわった本物で手作りの味」の開発、製造、販売に携わっています。
「三河 白だし」は「足助仕込三河しろたまり」をベースにしています。
「足助仕込三河しろたまり」は、愛知県産の小麦、伊豆大島の伝統海塩「海の精」を原料に、化学調味料・保存料を一切使わず、昔ながらの木桶を使って、ていねいに造られている天然醸造の白醤油です。
メインとなるだしの素材は、「枕崎産の一本かつお、北海道産の真昆布、愛知県産のしいたけ」。
それらを自社工場の釜で煮出し、「三河しろたまり」と合せて造られたものが、「三河 白だし」です。
化学調味料、化学保存料をはじめ、酵母エキスや野菜エキスといったエキス類も不使用の無添加白だしです。
原材料
小麦醸造調味料(小麦(国産)、食塩、米焼酎)、鰹節削り、食塩、みりん、砂糖、焼酎、椎茸、昆布
栄養成分
100mlあたり:たんぱく質2.2g、脂質0.0g、炭水化物10.0g、食塩相当量9.0g
無添加白だしと一般的な白だしの原材料を比較
上でおすすめした無添加白だしは、原材料に、すべて天然素材が使われています。
では一般的な白だしは、どのような原材料から作られているのでしょうか。無添加白だしの原材料と一般的な白だしの原材料を比較してみましょう。
無添加白だしの原材料
マエカワテイスト | 風味原料(いわしぶし、とびうお煮干、こんぶ、椎茸)、食塩、砂糖 |
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マエカワテイスト | 風味原料(さばぶし、かつおぶし、こんぶ、そうだかつおぶし、干しえび、椎茸)、砂糖、食塩、米ぬか、(原材料の一部に小麦を含む) |
日東醸造 | 小麦、鰹節、食塩(海の精)、本味淋、砂糖(粗糖)、焼酎、椎茸、昆布 |
一般的な白だしの原材料例
原材料のうち、/(スラッシュ)以降の部分は添加物を表しています。次の3社の白だしには、アミノ酸等といったうまみ調味料(化学調味料)をはじめ、様々な食品添加物が使われています。
Y社 | 果糖ぶどう糖液糖(国内製造)、食塩、しょうゆ、発酵調味料、煮干しエキス、かつお節(粗砕)、かつお節エキス、昆布エキス、さば節(粗砕)、かつおエキス/調味料(アミノ酸等)、アルコール、酸味料、カラメル色素、ビタミンB1、甘味料(カンゾウ、ステビア)、(一部に小麦・大豆・さばを含む) |
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H社 | うすくちしょうゆ、食塩、砂糖、かつお節エキス、発酵調味料、風味調味料(砂糖、食塩、発酵調味料、かつお節、昆布、乾椎茸、かつおエキス)、アミノ酸液、煮干エキス/調味料(アミノ酸等)、アルコール、甘味料(ステビア、甘草)、V.B1 |
M社 | 食塩、しょうゆ(本醸造)(小麦・大豆を含む)、砂糖、濃縮鶏がらだし、濃縮だし(こんぶ、かつおぶし)、たんぱく加水分解物(小麦・ゼラチンを含む)、こんぶエキス、粗砕かつおぶし、粗砕そうだがつおぶし、酵母エキス(大豆を含む)/調味料(アミノ酸等)、アルコール |
次の2社の白だしには、食品添加物は入っていません。しかし酵母エキス、かつお節エキスといったエキス類が使われています。
T社 | 薄口醤油(大豆、小麦)、素だし(鰹節、昆布、さば節、煮干し)、発酵調味料、天然塩、酵母エキス、砂糖、魚介エキス、椎茸、酒精 |
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K社 | 食塩、水あめ、かつお節、かつお節エキス、米発酵調味料、小麦発酵調味料、昆布エキス、うるめいわし節、酵母エキス、焼きあご、砂糖、魚醤(かつお)、米酢、しょうゆ(本醸造) |
「無添加白だしの選び方」で紹介しましたが、たとえば酵母エキスは人工的に作られた調味料です。T社、K社の白だしは、化学調味料は無添加であっても、人工的な原材料が使われていますので、”本物” の無添加白だしとは言えません。
白だしの使い方
白だしは、濃縮タイプのめんつゆと同じように、水やお湯などで薄めて使います。
塩分は濃口醤油と同じくらいあります。めんつゆと違って色が薄いので、つい入れ過ぎないように注意しましょう。
白だしを控えめにして、しょうゆやみりんなどを加え、自分の好みに合わせた味に調える「隠し味のような使い方」もできます。
白だしを使ったレシピの例
レシピサイトでは、白だしを使ったレシピがたくさん掲載されています。
その一部を紹介します。
まとめ
「無添加」の白だしなのに、後味がスッキリしないと感じたら、それは「本物」の無添加白だしではない可能性があります。
無添加白だしは、原材料がすべて天然素材から作られた「本物」を選びましょう。