適度に水を飲むことを習慣にしていると、水道水をそのまま飲んで良いのか、判断に迷うことがあるかもしれません。
たしかに水道水には「消毒剤が使われている」「劣化した水道管による水質悪化」など、安全面で気になることがあります。
そこで「水道水と健康との関係」について考えてみました。
もくじ
水道水が健康に影響すると考える理由
水道水が健康に影響すると考える理由は、4つあります。
1つ目の理由:水道水に「塩素」が使われている
塩素は殺菌力のある化学薬品です。水の中に存在する病原菌や雑菌を消毒するため、水道水には塩素が含まれています。
塩素は水を消毒する効果がある一方で、人体に有害な物質です。そのため必要以上に塩素が使われていると、健康への影響が懸念されます。
たとえば「喘息などのアレルギー反応」や「皮膚の乾燥、かゆみ」といった症状は、水道水に使われている塩素が関わっているかもしれないのです。
水道水に含まれる塩素の量は一般的に、「人体に影響のない、安全な量」と言われています。
しかし水道水に入れる塩素の量に、法律的な上限はありません。そのため水源の水質が悪ければ、塩素の量は増えることがあります。水道水を飲み続けることで、たとえばアトピーのある方であれば、症状が悪化している可能性もあります。
2つ目の理由:「水道管の劣化」による水質の悪化
たとえば下の写真は、私が住んでいるマンションで使われていた給水用の水道管です。大規模修繕が行われたときに、交換前のサンプルとして展示されていました。
写真を見ると分かるように、管には錆(さび)のような汚れがこびり付いています。飲み水用に使われてきた水道管とは思えない汚れ方で、本当に驚きました。
こうした錆は、水道水にも溶け込んでいる可能性があります。実際、水道管の交換が行われた後、私の家では洗面台やお風呂場に付いていた「茶色い水垢(あか)」が付かなくなりました。
このように水道水は浄水場で消毒されても、水道管を通って家庭に届くまでの途中で、汚れてしまう可能性があるのです。
3つ目の理由:多くの水道管に毒性のある「鉛(なまり)」が使われてきた
鉛製の水道管は「錆が付きにくい」「価格が安い」「加工しやすい」といった理由から、古くから全国各地で広く使われていました。
しかし鉛の毒が水道水に溶け出す問題が明らかになり、平成6年に水道管への鉛使用は禁止になりました。
その後は少しずつ別の素材に切り替えられていますが、水道管は土に埋められているため交換が難しく、まだ多くの鉛製水道管が残ったままです。
鉛は少量でも、人体に悪い影響を与える有毒物質です。水道管が全て安全な素材に切り替わらない限り、鉛に関する水道水への不安は解消されません。
4つ目の理由:水道管の一部に、安全性が未確認の塗料が使用されている
2022年1月、日本水道協会品質認証センターは、水道管の一部に、安全性が未確認の塗料が使用されていることを公表しました。水道管の塗料は、水道管の腐食やさびを防ぐ目的で、塗料と水が直接触れる部分に使用されていました。
今回明らかになったのは、規格とは異なる条件での試験結果を使ったり、規格外の原料を使用したりして認証を不正に取得したことで、塗料会社の内部通報によって発覚しました。
水道局は定期的な水質検査で、これまで異常は確認されていないとしていますが、不正に認証を得ていた塗料の人体への安全性については、まだ未確認です。
浄水器やミネラルウォーターを使い分け
以上の理由から、水道水をそのまま飲むのは、安全性を気にする方には適していないと言えます。
たとえば浄水器を使って水道水をきれいにしたり、ミネラルウォーターを買ったりすることをおすすめします。また料理には浄水器を通した水を使い、水分補給にはミネラルウォーターを飲むという使い分けも良いでしょう。
浄水するときは、浄水器や浄水ポットが、「ミネラル成分を残すタイプ」であるかを確認しましょう。ミネラルが塩素や鉛と一緒に除去されてしまうと、本来、水が持っている「身体の新陳代謝を高める働き」が弱まってしまうからです。
人によっては「水道水を煮沸させれば塩素が除去されるので、浄水器やミネラルウォーターは必要ないのでは」と思うかもしれません。
しかし水道水を沸かせば塩素は除去できますが、酸素とミネラルも同時に失われてしまいます。沸かした水道水では、たとえ塩素が取り除かれたとしても、身体を健康にする水の力は弱まってしまうのです。