特別栽培農産物のメリットとデメリット

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口に入るものは、安心できるものを選びたいと考える方は多いと思います。特に日常的に食べる機会が多い野菜やお米は、農薬を使わないものや、使ったとしても量を減らしたものを選びたい人が増えています。

「特別栽培農産物」は 、消費者が、そうした農産物を購入する際の目安になるよう、 農林水産省が定めたものです。 一定のルールやガイドラインに沿って栽培され、販売されています。

特別栽培農産物とは

「特別栽培農産物」は農薬や化学肥料を減らしたり、 無農薬で栽培されたりした農作物です。

農林水産省では特別栽培農産物について、次のような原則を定めています。

農業の自然循環機能の維持増進を図るため、化学合成された農薬及び肥料の使用を低減することを基本として、土壌の性質に由来する農地の生産力を発揮させるとともに、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した栽培方法を採用して生産すること

参考:特別栽培農産物に係る表示ガイドライン 農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/tokusai_qa.pdf

さらに、この原則に基づいた栽培方法に関するガイドラインを、次のように定めています。

農産物が生産された地域の慣行レベル(※1)に比べて、

節減対象農薬(※2)の使用回数が50%以下

化学肥料の窒素成分量(※3)が50%以下

で栽培された農産物

参考:特別栽培農産物に係る表示ガイドライン 農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/tokusai_qa.pdf

これを簡単にまとめると、特別栽培農産物は「化学合成された農薬や肥料の使用を減らすことを基本」にして、「環境への負担をできるだけ減らす栽培方法で育てられた」作物になります。

まめ知識

(※1)地域の慣行レベルとは?

農薬の使用回数や肥料の使用量は、地域の気候や生育条件が異なるので、一律ではありません。そのため各地方の公共団体が、自分たちの地域で習慣としている数値を「慣行レベル(慣行基準)」として設定しています。

慣行レベルの例

きゅうり(促成栽培の場合)

・農薬:慣行的使用回数:76回
(参考:特別栽培で認められる使用回数は、慣行レベル50%減の38回)

・化学肥料:慣行的施用量:60kg/10a
(参考:特別栽培で認められる施用量は慣行レベル50%減の30kg/10a)

はくさい

・農薬:慣行的使用回数:14回
(参考:特別栽培で認められる使用回数は、慣行レベル50%減の7回)

・化学肥料:慣行的施用量:26kg/10a
(参考:特別栽培で認められる施用量は慣行レベル50%減の13kg/10a)

(※2)節減対象農薬とは?

特別栽培農産物として認められるには、農薬を減らす必要があります。その際、減らす対象となる農薬のことを節減対象農薬と言います。

節減対象となる農薬は、すべての種類に対してではなく、「有機栽培で使用できる農薬」を除いた、「化学合成農薬」のみになります。
逆の言い方をすれば、「有機栽培で使用できる農薬」や「化学合成ではない農薬」は減らす対象にはなりません。

(※3)なぜ「窒素成分量」を減らす必要があるの?

窒素は農作物が十分に育つために欠かせない栄養素です。しかし必要以上に与えすぎると成長のバランスが崩れ、害虫の被害にあいやすくなるなど、かえって育ちが悪くなる原因になります。

また作物が吸収しきれず土の中に窒素が残った場合、やがて地下水や川などに流出し、環境に悪い影響を及ぼす恐れもあります。

「特別栽培農産物」は環境への負担を減らす栽培方法の採用が原則なので、「窒素成分量」を減らすことが求められるのです。

商品表示について

特別栽培農産物には、「特別栽培農産物」といった表示のほか、「農薬や化学肥料の使い方(※4)」、「栽培責任者の氏名、住所」など細かい情報の表示が義務付けられています。

まめ知識

(※4)農薬や化学肥料の使い方による表示の例

農薬・化学肥料を使用していない場合
「農薬:栽培期間中不使用」、「化学肥料(窒素成分):栽培期間中不使用」など

引用:農林水産省
特別栽培農産物に係る表示ガイドライン

農薬・化学肥料を減らした場合
「節減対象農薬:当地比〇割減」、「化学肥料(窒素成分):当地比 〇割減」など

引用:農林水産省
特別栽培農産物に係る表示ガイドライン

特別栽培農産物のメリット

安心感がある

通常の農産物に比べて、農薬や化学肥料の使用量が少ないので、健康や安全な食に対する安心感につながります。

農薬の使用状況などをチェックできる

製品には生産者の連絡先をはじめ、農薬の使用状況や化学肥料の使用量などが表示されています。さらに収まりきらない情報がある場合には、すべての情報をホームページに掲載し、そのURLを製品に表示するルールになっています。

おいしい

一般的には、通常の農産物に比べて味が濃く、おいしいと言われています。

特別栽培農産物のデメリット

通常の農産物に比べて価格が高い

農薬や化学肥料の使用量が少ないと、病気による生育不良や、害虫による被害が発生しやすくなります。どうしても、それらの予防や対策に手間がかかるため、通常の農産物に比べて価格が高くなる傾向にあります。

農薬の使用回数は、減っても安心できるレベルではない

たとえば「節減対象農薬:当地比5割減」と表示されていれば、使用された農薬の回数は、通常栽培の半分以下です。

しかしたとえ半分以下の回数に減ったとしても、安心できるレベルとは言えません。野菜の種類によっては、半分であっても、農薬を30回以上使うことができるからです。

たとえば慣行レベル(※1)で紹介した「きゅうり」では、通常栽培の場合、農薬を76回まで使うことができます。
一方の特別栽培農作物では、通常栽培の半分以下にする必要がありますので、この場合、農薬の使用限度は38回になります。たとえ半分であっても、40回近くまで農薬を使うことができるわけです。
ほかにもトマトやナスであれば、半分の回数として15回から30回まで農薬の使用が認められます。

このように、 特別栽培農作物では「農薬不使用」ではない限り、たとえ農薬が半分に減ったとしても、安心できるレベルではないのです。

特別栽培農産物と有機農産物の違い

特別栽培農産物と有機 (オーガニック) 農産物は違います。

農薬の使用について

有機(オーガニック)農産物に、化学的な農薬は使えません。農薬を使う場合は、天然の原料からできている種類のみが認められています。

一方の特別栽培農産物には、慣行レベル(※1)の半分まで、化学的な農薬を使うことができます

肥料の使用について

有機(オーガニック)農産物に、化学的な肥料は使えません。化学肥料に頼らず、水や土、微生物など自然のサイクルを活かした方法によって栽培します。

特別栽培農産物には、化学肥料を使うことができます。ただし、

慣行レベル(※1)に比べて

窒素成分量(※3)は半分以下であることが条件です。

特別栽培農産物と無農薬の関係

農薬をまったく使用しないで栽培するのであれば、「無農薬」と表示しても良さそうに思うかもしれません。しかし、たとえ栽培する人が農薬を使わなかったとしても、近隣の畑で噴霧した農薬が飛んで来たり、過去に使われた農薬が残っていたりする可能性はゼロではありません。

そのため、完全に無農薬であるかのような「無農薬栽培」や「無農薬野菜」といった表示は、誤解を与えるとして、使用が禁止されています。

そして農薬をまったく使用しないで栽培した場合に、「無農薬」に代わる表現として、「農薬:栽培期間中不使用」という表示になりました。

まとめると、農薬をまったく使用しない農作物であっても、「無農薬」とは表示されません。「特別栽培農産物」の中で「農薬:栽培期間中不使用」と表示があれば、無農薬と同じように栽培されたものと判断できます。

特別栽培農産物の購入前にチェックすべきこと

「特別栽培農産物」では使用回数に制限はあるものの、農薬を使用することは禁じられていません。

そのため、もし農薬が使われていない農作物を求めるのであれば、「特別栽培農産物」のうち、「農薬:栽培期間中不使用」と表示されたものを選ぶことが必要です

まとめ

「特別栽培農産物」は、農薬や化学肥料を減らしたり、無農薬で栽培されたりした農作物です。
「特別栽培農産物」には「安心感がある」、「農薬の使用状況などをチェックできる」、「おいしい」といったメリットがあります。
その反面、「通常の農産物に比べて価格が高い」「農薬の使用回数は、減っても安心できるレベルではない」といったデメリットもあります。

Picture of みやび(大塚雅代)

みやび(大塚雅代)

慢性の皮膚トラブルがきっかけで、20代の頃から『無添加』を意識。完治した後も、無添加を取り入れるライフスタイルを、そのまま続けています。
40代からは『週末だけ田舎暮らし』という二住居生活を始め、50代に完全移住しました。
自家用の野菜やお米は、無農薬でつくっています。
ナチュラルな製品や無添加の製品が、世の中に少しでも増えてほしいと願っています。

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